「卑弥呼の生きた時代」

⑷ 巫女(みこ)とは



古墳時代初期には、二つの石室を持つ古墳がよく見られます。それら一方の石室には「ゴホウラ」や「イモガイ」の貝輪を右手に多数装着した人骨が発掘されるケースが多くあります。

この貝輪は女性が腕にはめる装身具なのですが、それらを子供のときから右手に多数装着した人物というのは、通常の労働をしなくても良い女性司祭者でありました。

そしてもう一方の石室に葬られているのが男王である軍事的指導者です。

つまり一つの古墳に「神事を司る女王」と「軍事を司る男王」が共に祀(まつ)られているわけです。これが後期古墳になると夫婦が一つの石室に祀られるケースが出てきますが、この頃は夫婦でなく、姉弟あるいは兄妹というペアで祀られています。

このような形態を「姫彦制」というのですが、このような古墳に祀られるのは、いわば巫女と言っても女王と呼ばれるトップクラスの女性達です。

もちろん、その下に仕える巫女達も存在したわけで、以下は、そんな巫女達の姿を見ていくことにしましょう。